2006年11月03日
亮君中学名作劇場
『ぽんっっっ!』
ものは力を与え続けると変形する
人間の体も同じだ
首なが族は
首にリングをたくさんはめてジワジワ首を伸ばしている
中国かどこかにある村に住む女性は小足にするためにものすごく小さい靴に足をむりやりいれて足を変形させたりもする
シンクロをやっている選手の鼻は毎日鼻栓みたいのしてるから
なんか鼻が高い
しかし
これらは1日2日で変形するものではない
パソコンのキーボードを見ていただきたい
よく使うボタンは文字やコーティングが剥げてきていますよね
しかし文字の剥げてないあまり使ってないボタンの表面を今思いきりこすったところで いきなり文字は消えないんです
つまり長い年月 ジワジワとちいさな力が集中するとものは変形していくのだ
木の一カ所に毎日張り手を100回しつづけたら
30年後には
木にしっかりと自分の手形が刻まれるのだ
そんな話を中学二年生の時友達の部屋で話ていた
「て、ことは俺たちさあ、このまま毎日チンコこすり続けてたらそのうち細長くなっちゃうかな〜…??」
「バカだなおまえ…。
……なるにきまってるじゃん!
それに右手でばかりしごいてたらチンコが右曲がりになるんだぜ。だから右手と左手を一週間づつローテーションで変えながらしこったほうがいいんだよ。ちなみに俺は今週は左手ウィークさ」
「そうか。俺も右左ローテーションオナニーはじめよう」
そんなわけのわからない話をしていたら部屋の主が突然興奮したかのように声をあげた
「あっ…!!お、おもいだしたぞぉぉ!」
彼はまさに今タイムリーなネタを思いだしたんだ
「このベッドの下に…!やつが埋まってるんだよ!」
「なんだよヤツって?」
「岩石イワオだよ!」
「岩石イワオってキン肉マンの?」
「そうだよ!岩石イワオのキン消し知ってるだろ?」
※キン肉マン消しゴム
「ああ。知ってるよ。岩石イワオのキン消しはゴムでプニプニしてるんだよな」
「そうだよ。なぜか岩石イワオなのに硬くなくて柔らかいんだよ。しかもちょっとピンク色なんだよ!」
「それがどうかしたの?」
「小学校二年生の時、弟とイワオをふんづけてて俺たち兄弟は思ったんだ…」
「なんて?」
「こいつ踏んでも踏んでもすぐ復活しやがる!
絶対潰れねえ!!」
「は?」
「だからここに埋めたんだよ!この二段ベッドの下に!!二段ベッドの下敷きにしたらさすがの岩石イワオもペッチャンコに潰れるんじゃないかって!」
「えっ?で、どうだったの??潰れた?」
「だから、今日の今日まで、そんな事忘れてたんだよ!!」
「え?て…事は岩石イワオは今もこの二段ベッドの足の下敷きに?」
「眠ってる!」
「うおおおおっっ!!」
僕らの忘れかけていた情熱に火がついた
さっきまで死んだ魚の目をしてゴロゴロしていた僕らが一斉に立ち上がった
「六年間の歳月を経て今こそペッチャンコになった岩石イワオを!!」
皆で重い二段ベッドを持ち上げた
その一瞬の隙に
一人がベッドの足に下敷きになったなにかを発見した
「あ、あったどーっっ!!!!」
「うおおおおっっ!!!」
あった
たしかにあった
そこには六年間もの年月ダブルベッドに下敷きにされたキン肉マン消しゴムの岩石イワオが…
たしかにペッチャンコになっていたのである!!
「す、すげえ…」
僕らはペッチャンコになった岩石イワオに釘づけだった
と その時である!
「ぽんっっっ」
こんなマヌケな音がして岩石イワオは
一瞬で「もとの姿」に戻ってしまったのだ!
ぽんっっっ
こんな音
実際は鳴っていなかったのかもしれない
でも
僕らにはそんな音が確かに聞こえたんだ
六年間も重いベッドに下敷きにされながらも
ほんの二秒で
なにごともなかったかのように岩石イワオは元に戻った
ぽんっっっ
その時は僕らはそのあっけなさに爆笑した
だけど
あれから
13年経った今
あの音が耳から離れないんです
どんなに踏まれても
踏まれても
ついには二段ベッドに六年間下敷きにされても
絶対につぶれなかった男
ペッチャンコになっても二秒で復活した男
岩石イワオ
俺もそんな男になりたい
今日から俺たちの合い言葉は
「ぽんっっっ」だ
(終わり)
[前] [最新] [一覧] [次]
無断転載禁止