「おばあちゃん」
2001年4月15日

マキシマムザホルモンの6弦楽器 亮君





ボクのおばあちゃんは去年亡くなりました。




4年くらい前からアルツファイマーになってしまい、ものすごくボケてしまいました。




おじいちゃんだけでは面倒が見きれなくなり、我が家におばあちゃんが泊まる日が多くなりました。




おもらしをしたり、勝手に外出して迷子になってしまう、というまでのヒドイ症状まではいかなかったのですが、




アルツファイマーの老人と一緒に生活するというのは思った以上に大変なものでした。




常に部屋をウロウロしてるし、常に
なんか怒っている




最初のうちはまだ我慢できるのですが、それが毎日続くとこちらもイライラがたまって疲れてしまうものです。




なにか会話をしても、会話にならず意味不明な発言をおばあちゃんは繰り返すだけでした。




なにか良い方法はないかとボクは考えました。




そうだ!おばあちゃん以上に意味不明になろう!




ボクはおばあちゃん以上に意味不明になってみました。




基本的におばあちゃんと喋る時は
茶魔語で会話してみました。




あっけなく
無視されてしまいました。




次にボクは
意味不明なダンスをしておばあちゃんに迫ってみました。




おばあちゃんは
見てみぬフリしました。




ボクの作戦は失敗に終わりました。






ある日、ボクが深夜バイトから帰宅すると真っ暗な家の中をおばあちゃんはウロウロしていました。




ボクは仕事で疲れていたので、相手にしないで寝てしまおうと冷たく自分の部屋に入って寝てしまいました。




しかし、おばあちゃんの事がだんだん心配になり寝る事はできなかったのです。




居間に戻るとおばあちゃんはまだ暗闇をウロウロしていました。




ボクは溢れんばかりの真心でおばあちゃんに接してみました。




するとおばあちゃんはやっと心を許してくれました。




なぜかこの夜、おばあちゃんは普通に会話をしてくれたのです。




どうやらおばあちゃんはトイレに行きたかったが場所を忘れ、おまけに真っ暗でどうする事も出来なかったようです。




ぼくはおばあちゃんの手を握り一緒にトイレへ行きました。




その後、おばあちゃんを部屋に戻し寝かせてあげました。




おばあちゃんはボクに最後「ありがとう」と言ってくれました。




次の日、おばあちゃんはボクのお母さんに、こう話したそうです。




「昨日の晩・・・・太った女の子に助けられた・・・」





当時、ボクは長髪で
イエローモンキーのベースのような髪型をしていたからそう思われたのでしょうか!!(怒)






しかしあいかわらず、おばあちゃんはボケたままでした。




だんだんと症状もひどくなり、ついにおばあちゃんは病院に入る事になったのです。




ボクもおばあちゃんと一緒に車にのりました。




おばあちゃんは、いつになく車の中で騒ぎました。




自分がこれから病院にいれさせられるという事が、なんとなくわかっていたのでしょう。




ボクは車の中でおばあちゃんに
最後のチャンスをあげました。




車の中で
「亮君セレクション史上最強名曲ベストテープ」を流したのです。




これを聴けば絶対にボケてる場合じゃなくなる!!!!!!!!!




ボクは本気でそう思いおばあちゃんにテープを聴かせました。



おばあちゃんの子供時代のなつかしい曲だとか、おばあちゃんの想いでの一曲だとか




そんなもん
ヌキで、ジャンル関係無しで、

おばあちゃんに俺の最強に好きな曲を聴かせまくったのです。




これを聴けば、



ぬぉおおおおぉぉぉぉぉおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおぉぉぉお!!!!!!!!!!




って、おばあちゃんに
中学パワーが溢れて




胸がキュンキュンなって、




心臓がドッキンドッキンで、




「なんだーーー!この曲かっけーーーーーーーーーー!!!!!!




ボケてる場合じゃねーーーーーーーー!!!!!!!!!!




病院いってる場合じゃねーーーーーーーーーーー!!!!!!




今すぐ家帰って
耳コピしよ!!!!」






絶対にそう言ってくれると思った。おばあちゃんのボケが治ると思った。




でも、それは残念ながら無理でした・・・。





音楽のもつパワーなんて所詮こんなもんか・・・・と思った。




いや!ちがう!!



まだまだ、
曲が甘い!!!!!




この地球上に、ボケを治しちゃうぐらいのパワーをもった曲がまだ生まれてないだけなのだ!!!






俺がつくるしかねぇ!!!!!!!


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