「うまい棒事件」
2001年9月16日
マキシマムザホルモンの6弦楽器と唄担当 亮君
僕が小学3年生の頃、
とても貧乏な友達がいた。
みんなに「貧乏っちゃま」とからかわれている事もよくあった。
みんなでミニ4駆でレースして遊んでいた時、彼はひとりだけチョロQで参加したのを覚えている。
みんながビックリマンシールを集めている頃、彼はゴミ箱に捨てられたチョコをあさって食べていた事もあった。
彼は自転車も持っていなかった。
みんなで自転車で移動する時は彼はいつもダッシュで自転車のスピードに平気で着いてきた。
みんなで彼の家に遊びに行った時、
彼のお母さんが「みんな〜♪これで遊びなさい♪」となんだか訳のわからない部品をたくさん持って来た事があった。
僕らは言われた通りにその部品を組み合わせては箱の中に入れる。
そう!つまり子供たちに内職を手伝わせていたのだ!
そんな貧乏な彼と二人きりで遊んだ事があった。
「何して遊ぼうか?」僕は彼に尋ねた。
彼は即答だった。「川ちゃん(当時の亮君のあだ名)の家でファミコン!」
僕は子供心になんかウザかったので
「今日はファミコン出来ない日なんだよ」などとありもしない家族ルールを作って家には入れさせなかった。
しかたなく彼が提案した遊びが「空き瓶あつめ」だったのだ。
当時ビール瓶やジュースの瓶を酒屋にもって行くと一本10円で引き取ってくれた。
僕らは空き瓶を集めてお金稼ぎをする事になった。
(ちなみにウチの近所の自動販売機は瓶ジュースが刺さって売られてるタイプで、金を入れて一本瓶を抜くというモノだった。
お金を入れなくてはビンは抜けないのだが、当時の僕らは喉が乾くと家から栓抜きを持ってきて勝手に栓を開けてストローで飲んだ記憶がある。そのいたずらが子供たちの中で流行ってしまい瓶の自動販売機はすぐに缶ジュースタイプにかわってしまった。)
僕たちは一日中空き瓶を探した。
しかし空き瓶はたったの2本しかみつからず、20円しか手に入らなかったのだ。
二人で10円ずつ分けて駄菓子屋に買い物に行った。
僕は10円ガムを買って、彼はうまい棒を一本買った。
そして彼はその時信じられない行動をとったのだ!!!
うまい棒の袋を破り中身を取り出すと突如お菓子をゴミ箱に捨てたのだ!!!
そして、うまい棒の粉がついた袋だけをペロペロ舐めだしココが1番ウマい!と言い放った
僕は「何で捨てたの!?」と尋ねると彼はこう答えた。
「いつも俺は、人からうまい棒の袋をもらって舐めていたから、一度自分のお金で舐めてみたかったんだ」
小学校3年生の僕はその言葉に正直度肝をぬいた。
なかなかイカした深い行動である。
自分で手に入れたお金で、始めて彼は贅沢をしたのだ!
なにもお菓子を捨てなくても、食べてから袋を舐めれば良かったのに!
誰しもそう思うだろう。
しかし、それがヤツのプライドだったのだ!
みごとな傾奇っぷりである!!
(傾奇者{カブキモノ}の意味が分からなければ、漫画「花の慶次」を俺が貸してやる)
僕は彼の取ったその行動に驚いたが、彼の恵まれない環境に同情してしまったのも事実だ。
「こいつ・・・貧乏貧乏と苛められても立派に生きてやがる・・」
僕は彼を抱きしめてあげたくなった。
だけど、臭いからやめたんだ!(最悪!)